競馬メモ

「複勝転がし」とは?確率計算で分かりやすく解説します

「ころがし」というのは競馬用語で、

  • 的中したらその払戻金を次のレースに全額つぎ込み、複利効果を狙って莫大な配当を得る

という方法です。

JRAの競馬用語辞典に記載がありましたので、引用しましょう。

勝馬投票券の買い方の一種。この買い方の特徴は、あるレースを的中させたら、その払戻金をそっくり次のレースにつぎこみ、さらに的中したら、次のレースに……というように雪だるまをころがすように増やしていく点である。したがって成功したら、大変な金額になるが、逆に1レースでも不的中だとすべてが無に帰してしまう。

引用:JRA(https://www.jra.go.jp/kouza/yougo/w415.html)

この方法は、当然ながら、かなり高い的中率でないと成立しないので、対象馬券は最も的中率が高い複勝となり、

  • 複勝転がし

のコツのようなものが、あちこちで紹介されています。

特に、YouTubeなどでは企画としての面白さもあり、人気コンテンツになっているようですね。

しかしながら、複勝転がしを企画として楽しむ程度なら良いものですが、

  • 複勝転がしで儲けることができる

などということは、ほぼあり得ません

もちろん、あなたが天才的な馬券師で他の馬券購入者を出し抜けるなら、話は別ですが。

ここでは、統計的な観点から、複勝転がしの真実を整理してみたいと思います。

単勝オッズ別の成績・回収率

まずは、複勝率というものが、単勝オッズによってどの程度変化するのか、俯瞰的に確認していきましょう。

本来は、複勝オッズごとにまとめたいところですが、複勝オッズはレース確定までは幅があるため、単勝オッズで代替します

全レース|単勝オッズ別(1倍台)の成績・回収率(2016-2020)※障害戦を除く


着別度数を[非表示]

単勝オッズ1着2着3着着外出走勝率連対複勝単回複回
1.1517446677.387.993.98596
1.264141279766.080.492.87997
1.311635151818463.082.190.28296
1.418962344032558.277.287.78194
1.522989426042054.575.785.78294
1.619995477942047.470.081.27689
1.73381707314872946.469.779.77988
1.833114610516674844.363.877.88087
1.931116910320979239.360.673.67583

1.1倍の複勝率は93.9%となかなかのインパクトですね。

これを複勝転がしに利用できれば良いな、と考えがちですが、5年間で44件しか出現していませんので、実際には適用することはできませんし、複勝オッズも元返しになるレベルの人気です。

低オッズの複勝回収率が軒並み高いのは「100円元返しになる場合でも110円で払い戻す」JRAプラス10という制度によるものです

実際に実行可能なのは、1.5倍以下でひとくくりにするくらいでしょうか。

次の表は、1.5倍以下とそれ以上で分けたものです。

1.5倍以下の複勝率は88.2%でこれでもすごい数字です。

5年間のレース数が約16,500件で、単勝オッズ1.5倍以下が約1,000件ですので、現実的なところですね!

全レース|単勝オッズ別(1.6倍未満・以上)の成績・回収率(2016-2020)※障害戦を除く

着別度数を[非表示]
単勝オッズ1着2着3着着外出走勝率連対複勝単回複回
<=1.56492071071291,09259.478.488.28295
>=1.616,01816,43716,543185,036234,0346.813.920.97980

単勝オッズ1.5倍以下の連勝確率と期待回収率

連勝確率の求め方は単純です。

単勝オッズ1.5倍以下の1レースの複勝率が88%ですから、それを単純にかけ合わせればよいだけです。つまり、

  • 2連勝・・・0.88×0.88×100=78%
  • 3連勝・・・0.88×0.88×0.88×100=69%

のようになり、5連勝までまとめたものが次の表になります。

単勝オッズ 複勝率 2連勝 3連勝 4連勝 5連勝
1.5倍以下 88% 78% 69% 61% 53%

さて、計算をしていきましょう。

まず、2つ上の表から複勝回収率が95%なので、複勝オッズの付き方は、

平均的に95÷88(回収率÷複勝率)=1.08倍

よって、このケースで5連勝した場合の複利効果は、

100円×1.08×1.08×1.08×1.08×1.08=147円

となります。

53%の確率で100円が147円!どう思われますか?

期待回収率は147円×0.53=78%となり、1レースのみの期待回収率95%より下がってしまいますね(笑)

複勝転がしの期待回収率を考える

先ほどの例ではオッズという指標のみに基づいて購入をしたわけで、もっと精度よく予測できる方なら、状況が変わります。

そこで少し思考実験のようなことをしてみましょう。

複勝転がしを3レースで実施します。スタートは1,000円とします。

まずは期待回収率が96%(複勝率80%×複勝オッズ1.2倍)となるケースです。

先ほどの例と類似なので、一般的な馬券購入者が実践するケースと言い変えても良いでしょう。

【ケース1】複勝率80% 複勝オッズ1.2倍とした場合(期待回収率96%

結果 確率 配当 確率×配当 確率×購入
○→○→○ 51.2% 1,728円 885円 512円
○→○→× 12.8% 0円 0円 128円
○→×→- 16.0% 0円 0円 160円
×→-→- 20.0% 0円 0円 200円

○が的中、×が不的中です。不的中の場合はそこで転がし終了です。

○→○→○となる確率は0.8×0.8×0.8×100=51.2%となります。

以下同様に、

  • ○→○→×:0.8×0.8×0.2×100=12.8%
  • ○→×:0.8×0.2×100=16%
  • ×:0.2×100=20%

となりますね。

配当は○→○→○のみ獲得できて、

1,000円×1.2×1.2×1.2=1,728円となります。

次のところが理解しにくいかもしれませんが、○×の4つのパターンは確率によってそれぞれ生じますから、配当にも購入金額にも確率をかけます。

すると、確率×配当は合計885円、確率×購入は合計1,000円で(購入は結局もとの1,000円に戻ります)、

【ケース1】の期待回収率は88.5%となります。

【ケース2】複勝率85% 複勝オッズ1.2倍とした場合(期待回収率102%

結果 確率 配当 確率×配当 確率×購入
○→○→○ 61.4% 1,728円 1061円 614円
○→○→× 10.8% 0円 0円 108円
○→×→- 12.8% 0円 0円 128円
×→-→- 15.0% 0円 0円 150円

【ケース2】は複勝率が上昇した場合を検討します。

つまり、同じ複勝オッズですが、的中精度が高く、期待回収率が上昇するような場合です(85%×1.2倍=102%)

予想が上手な方の実例としてとらえてください。

計算は同じになりますので、省略しますが、【ケース2】の期待回収率は106.1%となります。

複勝転がしの回収率の性質とは?

以上をまとめると、複勝転がしをすることで、

  • 【ケース1】期待回収率96%→89%
  • 【ケース2】期待回収率102%→106%

となります。

これが、複勝転がしの回収率の性質です。

つまりどういうことかというと、単体レースでの期待回収率が

  • 100%を下回っていると、転がし全体の期待回収率は下降
  • 100%を上回っていると、転がし全体の期待回収率は上昇

するのです。

この真実から何が言えるでしょうか。

一般的な馬券購入者レベルから抜け出すことができなければ、

  • 複勝転がしは回収率を低下させる効果しかない

ということです。

残念ですが、意味がないのです。

逆も言えます。

同じ複勝オッズでも、的中率を高めて期待回収率が100%を超えるのであれば、転がしの意味はあるということになります。

自信がある天才馬券師みたいな方は後者でもいいですが、しかし、ふつうは前者ですよね。

オッズのみを見て判断する複勝転がしなどでは、儲けることなど到底できないのです。

よくある複勝転がしは「4回まで」というのも意味ありません。また、すべてのレースは独立事象ですから、不的中の次に的中がきやすいなんてこともありません

必勝法や攻略法などに惑わされえず、真面目に競馬に取り組みましょう!

パンダズ競馬では、回収率向上をテーマに、さまざまなデータ・考え方をご紹介していますので、是非参考にしてください。

-競馬メモ

© 2021 パンダズ競馬