競馬メモ

三連複の期待回収率を計算してみた【確率論】

競馬で儲けるためのアプローチは、基本的には、

  • 他の競馬ファンよりも高い予想能力で的中率を高めるか
  • 過小評価馬を見出して長期的な回収率向上を目指すか

しかありません。

前者で回収率が十分出ている方はそれでよいと思いますが、大多数の方は、自分の予想でほどほどに的中させながらも、通年で見ると回収率が100%に満たない、という方ではないでしょうか。

そのような方に申し上げたいのは、

  • 的中精度を磨くのではなく、過小評価馬を見出すアプローチがとても有効ですよ

ということです。

当サイトの管理人しがらきも、かつては的中志向でしたが、それだけでは回収率が伸びない(というか安定しない)ことから、後者の方法をとるようになり、月単位でみるとほとんど負けることはなくなりました。

予想が上手な方は本当にすごいと思います。競馬サイトを運営しておいてなんですが、管理人は到底そのレベルには至れないです。しかし、言い方は悪いですが、過小評価馬に注目する買い方なら、管理人のような凡人でも結果を出すことができるのです。

そんな背景があり、当サイトでは、自分の予想に加えて

  • 過小評価条件というもう一つのフィルターを設けてみませんか?

とうことを一貫して主張しているのです。

  • 自分の予想

だけではなく

  • 自分の予想+過小評価条件

で、回収率が本当に向上しますので、苦労されている方は、ぜひ注目してほしいです。

さて、前置きが長くなりましたが、この記事は、三連複の期待回収率を計算するのが目的です。

なぜ、前置きの話をしたかというと、過小評価条件に注目すると、券種の選定が非常に重要になってくるからで、結論から言うと、三連複を購入するのがベストです。

理由は、

  • 過小評価馬に注目する場合は、過小評価馬が組み合わさるほど、期待回収率が上昇するという性質がある

からです。

この記事では、実際に数字を使って、上記の性質を説明したいと思います。

少し偏屈な数字だらけの解説になりますので、お嫌いな方は結論まで読み飛ばしてください(笑)

最後まで読んでいただけたら、パンダズ競馬で主張していることが、明快に分かっていただけると思います。

どんな場合でも、単複に対して三連複が良い!と言っているわけではないことに注意してください。あくまでも過小評価条件をいうファクターを使った馬券購入を実施される場合の話です。注目しない場合は逆に三連複ではないほうが良いという結論も最後までお読みいただければ分かります

オッズに歪みがなく期待回収率がすべて80%であるレース

次のような9頭立ての架空レースを考えてみましょう。1票を100円とします。

これからの解説で分かりやすくするためこれを「妙味なしレース」と呼びます。

人気投票数支持率オッズ勝率期待回収率
190020.0%4.020.0%80.0%
280017.8%4.517.8%80.0%
370015.6%5.115.6%80.0%
460013.3%6.013.3%80.0%
550011.1%7.211.1%80.0%
64008.9%9.08.9%80.0%
73006.7%12.06.7%80.0%
82004.4%18.04.4%80.0%
91002.2%36.02.2%80.0%
  • 1人気~9人気までそれぞれ900票~100票の投票があったとします。馬番は人気順と同じとします
  • 全投票数は4,500票で、このレースの単勝は450,000円販売されたことになります。
  • 単勝の控除率は20%ですから払戻の総額が450,000円×(1-0.2)=360,000円となります。
  • 1人気が的中した場合、360,000円を900票で分けあうことになるので、1人気のオッズは360,000円÷900票=400円=4倍となります。
  • 表中の支持率というのは、その人気の票数が全体に占める割合です。1人気であれば900票÷4500票×100=20%となります。
  • 馬券購入者一人一人はいろんな考えを持っていても、馬券購入者全体の総意として、このレースの出走馬の支持率が形成されます。これは馬券購入者が想定している勝率とイコールになります。確認はできませんがそのレースの出走馬のそれぞれの勝率とズレがなければ、期待回収率は控除率を除いた80%となります。

重要な点ですから繰り返し述べますが、

支持率=馬券購入者全体が想定する勝率

となります。

過小評価も過大評価もない場合(何ら妙味がない)は、

馬券購入者が想定する勝率=実際の勝率

となります。もちろん実際の勝率というのは確認することはできません。

少し話がそれますが、人気順などで期待回収率が80%に収束していくというのはある意味すごいことで、馬券購入者の総意というのは、きわめて正確なのです。

これを超えなければいけないのですから的中率を目指すアプローチはハードルが高く、過小評価条件に注目した方法というのが価値をもつと考えるのです。

さて、上の表の実際の勝率をずらしたら過大評価や過小評価が発生している状態を描写できます、その説明は次のパートまで待っていただくとして、まずは、この「妙味が全くない」レースの三連複の回収率の計算をしてみましょう。

かなり冗長な説明ですが、本記事のエッセンスを正確にお伝えするために、お付き合いください。

①-②-③の三連複馬券が的中する確率

  • 3着内に入る

というのを、どのように表現するべきでしょうか。よくありがちですが、単勝の勝率を3倍にしてはいけません。詳細は省きますが確率の計算として間違っています。

ここでは、次のように考えます。

  • 1着に入る確率・・・勝率そのまま
  • 2着に入る確率・・・1着馬を除いた勝率シェア
  • 3着に入る確率・・・1着馬、2着馬を除いた勝率シェア

勝率シェアというのは、1着馬が20%の勝率であった場合、2着の計算をするのに、その20%を除いたうえで残りの馬の勝率を100%に換算するというようなイメージを持ってもらえればと思います。

さて、いよいよ①-②-③が的中する確率を考えてみましょう。①-②-③には全部で6通りの組み合わせがありますね。

  • ①→②→③
  • ①→③→②
  • ②→①→③
  • ②→③→①
  • ③→①→②
  • ③→②→①

これを1つずつ分解して計算します。すると先ほどの勝率シェアの考え方を用いて次のようになります。

これらを合計すると、6.37%となります。

この「妙味なしレース」の三連複①-②-③の的中確率は6.37%です。

①-②-③の三連複馬券の支持率

続いて、オッズの計算に必要な支持率がどう形成されるかですが、先ほど、支持率が馬券購入者の総意として想定される勝率だと書きました。

よって、これも次のように考えられます。

  • 1頭目の支持率・・・1頭目の支持率
  • 2頭目の支持率・・・1頭目を除いた支持率シェア
  • 3頭目の支持率・・・1頭目、2頭目を除いた支持率シェア

①-②-③という三連複馬券はどれくらいの支持を集めるか、というのは、同じように6通りの支持率を合計することで求めることができます。

  • ①→②→③
  • ①→③→②
  • ②→①→③
  • ②→③→①
  • ③→①→②
  • ③→②→①

具体的に計算すると次のようになります。

もっともらしく書いてますが、先ほどの確率の計算と全く同じです。なぜなら、妙味がない状態では、

馬券購入者が想定する勝率=実際の勝率

だったからです。次の妙味がある状態の計算の為に、あえてめんどうなことをやっているとご理解ください。

この「妙味なしレース」の三連複①-②-③の支持率は6.37%です。

①-②-③の三連複馬券のオッズ

オッズというのは、総支払額をその馬券の総購入額で割った値です。

三連複の場合は控除率が25%ですから、①-②-③のオッズは、

(1-0.25)÷0.0637=11.78倍

となります。

①-②-③の三連複馬券の期待回収率

最後に期待回収率を出しましょう。

期待回収率は、①-②-③の勝率×オッズですから、

6.37%×11.78倍=75%です。

オッズを求めるときの計算の逆をやっているので、75%になるのは当たり前ですが。

単勝で各出走馬に妙味がない場合、三連複でも妙味がない状態となります。

今回①-②-③しか計算しておりませんが、9頭立ての三連複馬券84通りすべての期待回収率が75%となります。

オッズに歪みがあり期待回収率にバラつきがあるレース

実際には1つのレースの出走馬の期待回収率がすべて80%ということは当然なく、馬券購入者の総意と、出走馬の実際の勝率には乖離があり、オッズには歪みが発生します。

いわゆる過小評価・過大評価といわれるものですが、少し大げさに差をつけて次のようなレースを想定してみましょう。

このレースは解説の為に「妙味ありレース」と名付けます。

数字は適当に設定しているわけではなく、勝率合計が100%になるようにしております。また、レース全体の期待回収率は80%になります。

人気投票数支持率オッズ勝率期待回収率
190020.0%4.025.0%100.0%
280017.8%4.517.8%80.0%
370015.6%5.110.7%55.0%
460013.3%6.016.7%100.0%
550011.1%7.211.1%80.0%
64008.9%9.05.0%45.0%
73006.7%12.08.3%100.0%
82004.4%18.04.4%80.0%
91002.2%36.01.0%36.0%
  • 1人気は、馬券購入者全体では20%という勝率(=支持率)を想定しているわけですが、実際の馬の能力は25%の勝率をもっています。
  • この場合、馬券購入者が思うよりも、その馬は強いわけですから、過小評価が発生していることになります。
  • このような馬を過小評価馬といいます。

①-②-③の三連複馬券が的中する確率

先ほどと同じことをします。

この妙味ありレースの①-②-③の三連複馬券が的中する確率は5.34%です。

①-②-③の三連複馬券の支持率

支持率の計算も先ほどの妙味なしレースと同じようにできます。

この妙味ありレースの三連複①-②-③馬券の支持率は6.37%です。

①-②-③の三連複馬券のオッズ

三連複馬券①-②-③のオッズは、

(1-0.25)÷0.0637=11.78倍

となります。

実は妙味なしレースも同じオッズでした。支持の形成のされ方が同じですから、同じオッズになります。

①-②-③の三連複馬券の期待回収率

期待回収率は①-②-③の勝率×オッズですから、

5.34%×11.78倍=62.9%です。

この三連複馬券は単勝で100%、80%、55%の期待回収率を持つ馬の組み合わせですが、三連複での期待回収率は63%と下がってしまいますね。

過大評価馬の期待回収率が低めですので、それに引っ張られた結果となっています。

全ての三連複馬券の期待回収率

9頭立ての三連複馬券は全部で84通りです。

このすべてについて期待回収率を計算してみました。

長くなるので、ご覧になる場合は、クリックして開いてください。

84通りの合計の期待回収率は75%になりますが、過小評価馬や過大評価があることで、それぞれの期待回収率はでこぼこしています

過小評価馬・過大評価馬がどのように組み合わさった馬券なのかわかるように、表中に、過小・中立・過大という文言を入れました。

  • 過小・・・①④⑦の場合です。期待回収率を100%に設定
  • 中立・・・②⑤⑧の場合です。期待回収率は80%に設定
  • 過大・・・③⑥⑨の場合です。期待回収率は、勝率合計が100%になるように設定していますので、極端に期待回収率が低いものも入っています。

上述したように、過大評価馬は設定上かなり期待回収率が低めなので(特に⑥と⑨)、結果が極端になっています。

ここではより分かりやすく説明するため期待回収率を100%と80%に設定した組み合わせのみを抽出して見てみましょう。

先ほどの表から「過大」が入っている行を削除すると、組みあわせは20通りとなります。

馬券1頭目2頭目3頭目期待回収率
①②④過小中立過小132.8%
①②⑤過小中立中立101.6%
①②⑦過小中立過小129.4%
①②⑧過小中立中立101.6%
①④⑤過小過小中立132.7%
①④⑦過小過小過小169.1%
①④⑧過小過小中立132.7%
①⑤⑦過小中立過小129.2%
①⑤⑧過小中立中立101.3%
①⑦⑧過小過小中立129.1%
②④⑤中立過小中立98.0%
②④⑦中立過小過小124.9%
②④⑧中立過小中立98.0%
②⑤⑦中立中立過小95.6%
②⑤⑧中立中立中立75.0%
②⑦⑧中立過小中立95.6%
④⑤⑦過小中立過小124.8%
④⑤⑧過小中立中立97.9%
④⑦⑧過小過小中立124.8%
⑤⑦⑧中立過小中立95.5%

さて、見ていただいたら分かると思いますが、過小評価馬が入っている組み合わせは、回収率が爆上げになっていますね

  • 過小評価馬が3頭の場合・・・169%
  • 過小評価馬が2頭の場合・・・125%~133%
  • 過小評価馬が1頭の場合・・・96%~102%
  • 過小評価馬が0頭の場合・・・75%

中立ー中立ー中立(過小評価馬が0頭)の場合は、期待回収率は75%になっており、それを基準として、組み合わせの中に過小評価馬が増えるほど回収率が上昇しています。

大事なのは各々の単勝の期待回収率は100%だった点です。つまり、

  • 過小評価馬が重なる三連複馬券では、相加的に期待回収率が増加する

のです。

これが本記事の結論です。

逆もいえます。三連複を購入するのなら、過大評価馬を組み合わせると、結構悲惨なことになります。過小評価に注目するなら、三連複が得策ですよ、といえる一方で、三連複を購入するなら、過小評価馬を見出せないと、回収率は爆下げですよ、と。

実際の購入の仕方

当サイトで推奨している方法は、みなさんの予想を尊重したうえで、

  • 過小評価条件というフィルターを新たに設けましょう

ということです。

やっぱり自分で予想しないと楽しくないですよね。私はそうです。

実際の購入の方法ですが、

  • 過小評価馬3頭は、なかなか条件がそろわない

ので、管理人のおすすめは三連複フォーメーションで、

  • 1頭目・・・人気サイド(軸馬)
  • 2頭目・・・1頭のみ過小評価馬
  • 3頭目・・・複数頭の過小評価馬

とすることです。

この辺は個人の好みもあると思うので、これが絶対ということはないです。

しかし適当に穴馬を入れるのはやめたほうが良いです。その穴馬が過大評価馬だったら三連複を選択することが逆効果ですから。

過小評価条件を常に見ることを癖づけることで、長期的に見たら、必ず妙味ありの方向で馬券を購入していることになります。

そこそこ的中するが、回収率がなぁ、という方は、もともと予想能力が高いでしょうから、一番効果的だと思いますよ!

まとめ

当サイトは、

  • 過小評価条件を見出す
  • 三連複フォーメーションでの購入

を基本的な方針として、長期的な回収率向上を目指す方を応援しています。

ここまでの説明で分かっていただけると思いますが、この2つを実践するだけで、おのずと回収率が上昇します。おのずと、というのは予想能力がそのままでも回収率が上がるということです。

最後に、

  • 過小評価条件
  • 三連複フォーメーション

のこの2つのキーワードについて、参考サイトや記事等をまとめて紹介いたしますので、よかったら合わせてご覧ください。

過小評価条件

パンダズ競馬では、さまざまなデータベースで過小評価条件を紹介しています。

調教師や馬主のデータベースもありますが、重要なのは次の3点セットでしょう。

ぜひ参考にしてみてください。パンダズ競馬で回収率が向上した、という声をたくさんいただき、管理人もこのようなサイトを作ってよかったと思っております。

もう一つ、ご自身で条件抽出できる方法も提供しています。こちらのほうがオリジナルの条件を何でも作れますので、そういうのがお好きな方はぜひ一度試してみてください。

三連複フォーメーション

三連複フォーメーションの具体的な購入方法を説明した記事です。

軸馬に対して、過小評価馬をどのように組み入れるか、について解説しています。

過小評価条件に注目する以上、三連複での購入はぜひチャレンジしてほしいですが、三連複に慣れていない方は、予想サイトの無料予想を参考にするのをお勧めします。

私が参考にしているのは次の2サイトです。いずれも三連複の無料予想を毎週提供しています。ターフビジョンは三連複フォーメーションなので、当サイトでお勧めする方法に一番近いです。

ターフビジョン (三連複フォーメーション)

エキストラ(三連複フォーメーション)

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